私が、神奈川県のある高校の臨時教員だった頃の話。
仮にA君としておきましょう。
A君はあまり人と関わりを持つのが苦手なタイプ。
しかも、何かいつもつまらなそうな感じが伝わってくる。
そんな、A君は作文やレポートを書かせると、いつも1行か2行書いてひたすら紙とにらめっこ。
(※ A君に関わらず、結論は書けるのだが文章にできないというのは少なくないですが。)
その後、飽きるとずっと外を眺めている。
教員としてまだまだ経験の浅い私は、
「あの子が心底笑っているのってどういうときなんだろうか?」
そう思っていました。
ある日、父兄懇談会があり、私は担任の代わりの臨時教員だったので父兄たちと話をする機会が設けられた。
学校での様子、進路などの話が多い中
ある母親の話は違っていた。
それは、A君のお母さん。
「先生!この前の陣取りゲームってどういうのですか?」
私は、予想してなかった質問にびっくり
よくよく思い出してみると、ロングホームルームの時間。
たらたらと、進路の話したりするのももう飽きただろうと思った私は、
高校にもなると、隣の席のクラスメイトとは面識のない現状がとても気になっていたので
何か、隣の席や近くの席の生徒たちで協力できる授業はないものか?と思ってやってみたものだ。
というか、
「どこで、その話知ったんですか?お母さん!!」
と、声にならない驚きを表情に出していると
情報源はA君だった。
A君のお母さんはつづける・・・
私の出身地での話。私がコンビニで「温かいものとわけますか?」と聞かれて返事に困っている話。私がM君と話しているテレビ番組の話。
まるで、学校にお母さんも登校してきているかのように詳しく話してくれた。
そこで、教員として日の浅い私は
「あっちゃぁ、そう言われてみれば教員らしいことしてないわぁ」
と、ウィークポイントを心配してしまう。 😯
A君のお母さんは続ける
「Aったら、楽しそうにまるでテレビ番組をネタにするように学校でのことを話すんですよ。」
「え?」
これは、さすがに私は声に出てしまった。
あのつまらなそうに、飽きると外をずーーっと眺めているA君。
グループになって作業する際も、いまいち協力しようとしないA君。
そんな、A君が楽しそうにお母さんに学校での出来事を話している。
想像もつかない。
そうそう、私だって学校の出来事を親に話をしたのは小学校低学年までだ。
しかも、作文を書くのも苦手なA君は毎日の学校での出来事をどう話しているのだろう?
お母さんはかなり詳しいようだが。
話をきいていくうちに、A君の様子が想像できるようになった。
A君は毎日家族に学校での事を話すことが習慣になっていた。
むしろ、彼にとってはそれを話すことが大切な吐き出し口だったのだろう。
しかも、A君のお母さんへ話す様子からすると、あった出来事を一度自分の中で整理をして、自分の中できちんと消化し、自分の中でまとめて話をしていると思われる。
A君のお母さんは、それを私に話をするのがとても楽しみだったようだ。
それから、ある日日直だったA君。日誌を持ってきたので、さりげに私の知らない今日の授業の体育について聞いてみた。
私の予想するA君なら「だるかったです」とかで終わりそうな話。
しかし、意外や意外、大学試験の推薦でこの様に話したら一発で合格できそうなぐらい理路整然と話すA君。
しかも、私が頷くとちょいちょい嬉しそうな顔をするA君。
そう、今日あったことを吸収して、アウトプットすることでA君は、今日あったことを消化してたのだ。
この事で、私が大いに反省して・・・
大いに学んだことは・・・
話を聞いてみる事の大切さである。
A君のお母さん、そして、A君のお陰で教育現場での楽しさの1つを知ることが出来た。
実をいう、私もこの出来事をこうやってアウトプットすることで、きっと消化出来ているのだと思う。
「うちの子、あんまり学校でのこと話したくなさそうだし・・・」
とか、
「あんまり、話したくないだろうなぁ~」
という、憶測を一度捨てて。

「今日、学校で何があった?」
と聞いてみてはいかがだろうか?