学習って楽しいんだって時・・・

「先生、わかった!」「できた!」と子どもたちの弾む声が教室に響く瞬間ほど、

教育の喜びを感じるときはありません。

学びとは本来、苦しいものではなく、楽しさや達成感を伴うものです。

「楽しく勉強したら出来た」という経験は、子どもたちの自信を育み、

次の学びへと向かう大きな力になります。

今、教育現場では「支え合い学習」や「主体的な学び」が注目され、

その効果を裏づけるデータも数多く示されています。

今回は、楽しさと協働を基盤とした学びが、

いかに子どもの可能性を引き出すかを考えていきたいと思います。

 

支え合いながら学ぶ喜び

私たちは、一人で学ぶときよりも、仲間と共に学ぶときに多くの刺激を受けます。

教え合い、助け合いながら学ぶ「支え合い学習(協働学習)」は、知識の定着だけでなく、

思考力・表現力・人間関係力の育成にも大きな効果があるとされています。

たとえば、文部科学省が実施した調査によると、グループワークや意見交流を多く取り入れた授業では、

児童生徒の「学びが楽しい」と感じる割合が約1.5倍に高まったという結果が出ています。

 

支え合い学習では、ある子どもが分からなかった部分を別の子が説明することで、

教える側の理解も深まります。「教えることは学ぶこと」とよく言われるように、

他者に伝える過程で自らの思考を整理し、学びがより深く定着します。

また、グループ内で「できたね」「ありがとう」と言い合うことで、

承認の文化が生まれ、自己肯定感も高まります。

 

実際、ある小学校で行われた算数の支え合い学習の実践では、

単元の終末テストでの平均正答率が10%以上向上しただけでなく、

「友だちと考えるのが楽しかった」「一緒にやったらわかった」

と答えた子が全体の8割にのぼったそうです。

結果だけでなく、学ぶ過程そのものが充実していたことがわかります。

 

主体的に学ぶ姿勢の育成

近年の学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」が重視されています。

主体的な学びとは、与えられた課題にただ答えるのではなく、

自ら問いを立て、考え、行動する学びのことです。

子どもが「なぜ?」「どうして?」と疑問をもつ瞬間に、学びの扉が開かれます。

その疑問を大人が丁寧に拾い、考える場を与えることで、

学びは「やらされるもの」から「自分のもの」へと変わっていきます。

 

たとえば理科の授業で、「なぜ氷は浮くの?」と尋ねた子どもの疑問をきっかけに実験を展開したとします。

友だちと話し合い、予想を立て、結果を比べながら考察する過程で、子どもたちは主体的に学びを進めます。

このような学びの場では、教師が一方的に教えるよりも、

子どもたちが自ら「知りたい」と思うエネルギーが教室を満たしていきます。

 

ベネッセ教育総合研究所の調査によると、

「授業が楽しい」と答えた児童生徒の約8割が

「自分で考えたり、友だちと意見を出し合ったりする授業が多い」と回答しています。

つまり、主体的な学びが楽しさを生み、

楽しさがさらなる学習意欲を引き出すという、良い循環が生まれているのです。

 

「楽しい」と「できた」はつながっている

脳科学の分野でも、「楽しさ」と「学習効果」の関係が明らかになっています。

東京大学の研究チームが行った調査によると、楽しさや好奇心を感じているときには、

脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌され、

記憶の定着を助ける働きをすることがわかっています。

つまり、「楽しく勉強する」こと自体が、科学的にも「できるようになる」ことにつながるのです。

また、楽しさは感情面だけでなく、行動面にも良い影響を与えます。

笑顔が多い学習場面では、子ども同士の協力関係が自然に生まれやすくなり、

結果として学習時間の集中度が高まると報告されています。

学習意欲は「努力」や「忍耐」だけでは持続しません。

「楽しさ」という心のエネルギーがあってこそ、子どもは困難に向かう力を発揮するのです。

 

できた経験が自信を育てる

「できた」という感覚は、子どもの成長にとって何よりの栄養です。

その達成感は、次の挑戦への原動力となり、困難を乗り越える力を育てます。

教育心理学では、この感覚を「自己効力感」と呼びます。

小さな成功体験の積み重ねが、「自分にはできる」という信念をつくり出し、子どもを成長させるのです。

ある中学校の英語の授業で、ペア活動を多く取り入れた実践がありました。

最初は英語を話すことに抵抗をもっていた生徒たちも、ペアで短い会話練習を重ねるうちに笑顔が増え、

互いに励まし合いながら発表までやり遂げました。

後日行われたアンケートでは、

「英語が前より好きになった」「友だちと練習すると安心できた」と答える生徒が多数を占め、

スピーキングテストの平均点も上がったそうです。「楽しさ」と「支え合い」が「できた」へとつながった好例です。

 

大人がつくる「楽しい学び」の環境

楽しく学ぶためには、子ども自身の意欲だけでなく、大人の関わり方も大切です。

教師や保護者が「できたね」「すごいね」と温かく認めることで、子どもの学ぶ意欲はぐんと高まります。

また、失敗したときに「どうしてうまくいかなかったのか一緒に考えてみよう」と寄り添う姿勢も欠かせません。

学びの過程で失敗することは当然のことです。

大人がそれを受け止め、再挑戦を促すことで、子どもは安心して挑戦を続けられます。

 

教育の目的は、単に知識を教えることではなく、「学び方を学ぶ」ことにあります。

支え合いながら、楽しみながら、自分で考えて進む力を育てることこそが、未来を生き抜く力となります。

AIや情報が溢れる時代だからこそ、自ら学び、考え、他者と協働できる力が求められているのです。

 

「楽しく学ぶ」ことの本当の意味

「楽しい勉強」と聞くと、「遊びのような軽いもの」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、楽しいというのは決して「ラクをする」ことではありません。

自分の力で考え、わからないことに挑戦し、仲間と支え合いながら乗り越えたときにこそ、本当の楽しさが生まれます。

その喜びは、努力の先にある“知る喜び”であり、“できるようになった自分”を実感する瞬間なのです。

子どもたちが「楽しく勉強したら出来た」と心から言える学びの場を増やしていくこと。

そこには、支え合う仲間がいて、挑戦を見守る大人がいて、

そして何よりも「学ぶことっておもしろい」と感じられる環境があります。

私たち大人が、その環境づくりに力を注ぐことが、

子どもたちの未来を豊かにする第一歩となるのではないでしょうか。

 

楽しく学習することの意義

「楽しく勉強したら出来た」という言葉には、単なる結果以上の意味が込められています。

それは、学びの過程を仲間と共有し、自分の可能性を信じて前へ進んだ証です。

支え愛、認め愛ながら生まれる学びの喜びが、やがて子どもたちの「生きる力」となっていくのです。

大人はその背中をそっと押しながら、共に学び、共に成長していく存在でありたいと思います。

 

教育立県彩の国学舎くき学園では

日々、この学習を追い求めて子どもたちの成長と明るい未来へと・・・