支え愛、教え愛、そして認め愛

「ありがとう」「うれしかったよ」「手伝ってくれて助かったよ」・・・

くき学園の子どもたちから、そんなあたたかな言葉が自然と聞こえてくるのは、

日々のかかわりの中で“支え愛・教え愛・認め愛”という

人と人との温かなつながりを大切にしているからです。

子ども同士のかかわりの中で、お互いを大切にし愛が育ちつつあります。

そして、それが一人ひとりの心の成長と、自分らしさを確立していく「自分づくり」につながっているのです。

 

支え愛から育まれる思いやりの心

 

くき学園では、子どもたちが困っている仲間に自然と手を差し伸べる姿が見られます。

たとえば、ある日工作の時間にハサミの使い方に困っていた子がいると、

隣の子が「こうやると切りやすいよ」と静かに助けてあげていました。

職員が声をかける前に、子ども同士で助け合うこの光景こそ、“支え愛”が根付いている証だと感じます。

 

こうした支え合いの土壌は、日々の活動や日課の中で育まれています。

かかわりの中で、助け愛、支え愛、学び愛がある環境では

他者の気持ちに目を向ける力を自然と養っていきます。

このような実践を重ねるうちに、子どもたちは“誰かの力になれる”という体験を積み、

自信と誇りを育んでいきます。そしてそれがやがて、「自分も誰かに支えられてきた」

「支えられることは恥ずかしいことではない」といった、受け取る側の姿勢にもつながっていくのです。

 

 教え愛で深まる学びとつながり

学習や活動の中で、子ども同士が教え合う場面も数多く見られます。

特に「教え愛タイム」と呼ばれる時間では、一人ひとりが得意なことや、

好きなことを紹介し合う時間が設けられています。

絵が得意な子が描き方を教えたり、九九が得意な子がカードを使ってクイズを出したりと、

それぞれの個性が生き生きと輝く時間です。

教えることは、単に知識やスキルを伝えるだけでなく、

自分の考えを相手に伝わるように工夫すること、

自分とは異なるペースや理解の仕方に寄り添うこと、

つまり“相手の立場に立つ”という大切な人間力を育む機会になります。

 

また、「教え愛」の中で、子どもたちは「ありがとう」「わかった!」という反応をもらうことで、

自分の存在が誰かの役に立っているという手応えを感じます。それがさらなる意欲となり、

もっと知ろう、もっと伝えたいという“主体的な学び”へとつながっていきます。

このように、学びは決して一方通行ではなく、教えることで学びが深まり、

教わることで視野が広がる。そんな双方向の豊かな学びが、くき学園の日常には溢れています。

 

また、今日ある教室では、文字式が苦手な子にたいして「ぼくなら、こう考えるよ」「ここを、こう考えたらいい」

など、話し愛ながら自分たちを成長させていました。

 

 認め愛が育てる自己肯定感と安心感

「今日もよく頑張ってたね」「あのとき〇〇さんに優しく声をかけていたの、すごくいいなと思ったよ」・・・

くき学園では、日々のちょっとした行動を言葉にして伝え合う文化があります。

それは職員だけでなく、子ども同士でも行われており、

「認め愛ノート」にお互いの良さや頑張りを書き合う活動もあります。

こうした“認め愛”の習慣は、子どもたちに大きな安心感を与えます。

自分はここにいていい、自分には良いところがある、

という自己肯定感は、心の安定と成長にとって欠かせない土台です。

 

さらに、他者を認める力は、自分と違う考え方や価値観を受け入れる寛容さをも育てていきます。

異なる個性があるからこそ世界は面白い、違いを認め合えるからこそ一緒にいる意味がある・・・

そのことに気づいた子どもたちは、少しずつ“自分づくり”を進めていくのです。

 

 豊かな心の成長と「自分づくり」へ

“支え愛”“教え愛”“認め愛”は、どれも人との関係性の中で育まれるものです。

そして、それらを通して得られる心の温かさや気づき、そして自己理解と他者理解が、

子どもたちの「豊かな心の成長」と「自分づくり」の原動力となっています。

 

くき学園では、特別なことをしているわけではありません。

一人ひとりの子どもが主役になれるよう、小さな工夫と積み重ねを大切にしています。

笑顔で挨拶を交わすこと、困ったときに「助けて」と言えること、

誰かの頑張りをそっと認めてあげること・・・そのすべてが、大人になってからも続いていく、人としての土台となるのです。

 

 大人のまなざしも“愛”から

最後に、大人のかかわりについても触れておきたいと思います。

子どもたちが“支え愛・教え愛・認め愛”を体現するためには、

まずその姿を見せてくれる大人の存在が不可欠です。

大人が互いに敬意を払い、子どもの声に耳を傾け、

失敗も成功も共に喜んでくれる存在であること。

それが、子どもたちにとっての安心感であり、モデルとなります。

 

私たち職員一人ひとりが、“愛”をもって接することで、

子どもたちも自然とその姿勢を学んでいくのです。

 

くき学園では、今後も子どもたちが「人と人とのかかわりの中で自分らしく輝ける」学びの場を大切にしていきます。

“支え愛・教え愛・認め愛”という実践を通して育まれる心の力こそ、

これからの社会を生き抜くために、そして幸せに生きるために、最も大切な力であると信じて。