くき学園でのイエナプランの実践

くき学園では、療育という観点に加えて、学びや生活、遊びのすべてを通して、

その子自身の「自分らしく生きる力」を育むことを目的としています。

そのような中で、イエナプランと呼ばれる理念はくき学園の方向性と深く重なります。

特に「主体的な学び」という視点から見たとき、以下のような実践が有効に機能しています。

 

イエナプランとは?

近年、教育の現場では「主体的な学び」という言葉が注目されています。

「自ら考え、自ら選び、自ら行動する」。これがまさに、主体的な学びの本質であり、

子どもたちがこれからの社会を生き抜く力の土台とも言えるものです。

その背景には、変化の激しい現代社会において、ただ知識を詰め込むのではなく、

自ら問題を発見し、考え、行動できる人間を育てるという、教

育の質的転換が求められているという時代の要請があります。

そのような中、ドイツ発祥の教育法である「イエナプラン教育」に対する関心が高まっています。

日本国内でも、少しずつその理念と実践を取り入れる学校や施設が増えてきていますが、

特に放課後等デイサービスのような福祉と教育が交差する現場での導入には、

大きな可能性と意義があります。

私たち教育立県 彩の国学舎 くき学園でも、子どもたちの多様性を尊重し、

その個性を最大限に伸ばすために、イエナプランの理念を取り入れた実践を重ねてまいりました。

 

イエナプランとは何か

イエナプランとは、1924年にドイツの教育学者ペーター・ペーターゼンによって提唱された教育理論です。

その中心的な考え方は、「共に生きる、共に学ぶ」ことを通して、子どもたちが自分の個性を伸ばしながら、

他者との違いを認め合い、豊かな人間性を育んでいくことにあります。

具体的には、「異年齢集団」「リビングルームのような教室」「対話の重視」

「ワールドオリエンテーション(総合的学び)」などの特徴をもち、

子ども一人ひとりの主体性・自律性を大切にした教育方法が展開されます。

日本での実践例としては、学年にとらわれない学びや、教師が「導く存在」であることが話題となっています。

 

異年齢による学び合い

くき学園では、小学生から高校生までの子どもたちが、

いくつかの校舎では共に過ごす時間を大切にしています。

異なる年齢や特性の子どもたちが関わり合うことで、

年下の子は自然に年上の子から学び、年上の子は年下の子の世話をする中で思いやりや責任感を育みます。

ある日、低学年の子どもが折り紙の折り方に困っていると、

近くにいた中学生の子がさりげなく寄ってきて「一緒にやろうか?」と声をかけていました。

そこには、誰かに「教えなさい」と命じられたからではなく、

自らの判断で動き、相手の気持ちに寄り添う主体的な行動がありました。

 

対話を通した学び

イエナプランでは「サークル対話」が重視されます

くき学園でも、はじまりや終わりに、みんなで輪になってその日の振り返りや、

気づき、感じたことを話し合う時間を設けています。

ここでは、正解や不正解はなく、一人ひとりの思いや考えが尊重されます。

 

あるとき、一人の子が「今日はうまくできなかった」と涙ぐんで話した際、

周囲の子どもたちが「がんばってたよ」「明日は一緒にやろう」と自然と声をかけていました。

このようなやりとりの中で、子どもたちは「自分を表現すること」「他者の意見を聞くこと」の心地よさを知り、

主体的に対話に加わる力を身につけていきます。

 

共通体験によるつながり

 

イエナプランの特徴でもある「ワールドオリエンテーション(総合的学び)」は、

くき学園においても季節ごとの特別活動という形で取り入れています。

英会話教室、将棋教室、サッカー教室、水泳教室、体操教室、運動教室、器楽演奏教室、手芸講座など

また、各教室ではこの夏休みも様々な体験学習や校外学習が計画されています。

これらの共通体験を通して、子どもたちは自然に興味をもち、

感性を育み、仲間との協働の中で「自分の役割」に気づいていきます。

 

主体的な学びが育てる「生きる力」

主体的な学びとは、自分で感じ、考え、行動し、

他者との関わりを通してさらに深めていく過程そのものです。

そのような力は、一朝一夕で身につくものではありませんが、

日々の関わりの中で少しずつ芽吹き、確実に成長していきます。

くき学園では、失敗も成功も含めて、その子が自ら経験することを大切にしています。

大人がすぐに手を差し伸べるのではなく、「待つ」「見守る」「必要なときに支える」ことを意識することで、

子どもは自分自身を信じる力、自分で乗り越える力を養っていきます。

ある子は、最初は集団の中に入るのが苦手で、活動にも消極的でした。

しかし、周囲の温かなまなざしと、選択の自由、対話の機会の中で少しずつ心を開き、

自分の考えを言葉にできるようになってきました。その変化はまさに「主体性」が育まれている証です。

 

さらなる、イエナプランの実践

イエナプランの実践を通して、くき学園では子どもたちの「主体的な学び」を日々育んでいます。

それは、特別な教材や設備が必要なわけではなく、

「子どもを一人の人格として尊重すること」「対話を大切にすること」「選ぶことを信じること」から始まるのです。

私たち大人が子どもたちにできることは、彼らの中にある力を信じ、

安心して挑戦できる場を整えることです。

子どもたちは本来、学ぶ力、感じる力、変わる力を持っています。

イエナプランの実践を今後も深めながら、すべての子どもたちが自分らしく、

主体的に生きる未来を拓いていけるよう、支援を続けてまいります。