「壁」が子どもを成長させる

子どもの成長を願う大人は、「できるだけ楽に」「できれば失敗や困難を避けさせたい」と考えがちです。

しかし、私たち自身も、これまでの人生を振り返れば、乗り越えてきたさまざまな

「壁」が自分を育ててくれたことに気づくはずです。

子どもたちもまた、自分らしい色で輝くためには、

必要なときに必要な「壁」と向き合い、自らの力で乗り越えていく経験が欠かせません。

 

壁を前に悩み、考え、試行錯誤しながら乗り越えた経験は、

子どもの心に深く刻まれ、やがてその子らしさという輝きとなってあらわれていくのです。

 

子どもに必要な「壁」とは

壁と聞くと、勉強や運動といった目に見える課題を思い浮かべがちですが、

人間関係や自分の心との向き合い方といった目に見えない壁も、

子どもたちにとっては大きな成長の糧となります。

壁にぶつかったときにどう行動するか。

泣いてしまうことも、立ち止まってしまうこともあるでしょう。

しかし、そこからどう前に進むかを考え、自ら乗り越えようとする姿勢が、やがて「自分色」に輝く力へと変わっていきます。

 

教育立県彩の国学舎 くき学園では、あえて「簡単すぎない課題」「すぐにはうまくいかない活動」を日々取り入れています。

これは、子どもたちが小さな壁を乗り越える経験を重ね、自信と成長につなげていくためです。

私たち大人は、適切な支援を行いながらも、子ども自身の挑戦を大切にし、

答えを与えすぎず、ヒントやきっかけを用意することを心がけています。

 

エプロンが結べない悔しさから生まれた自信

ある日のこと、エプロンをつける活動で、ひも結びがうまくできずに困っていた男の子がいました。

何度も挑戦するものの、指先がうまく動かず、結び目がほどけてしまいます。

彼は「どうせできない」「やってよ」と大人に頼ってきました。

ここで、すぐに大人が結んでしまえば、その子は壁を乗り越える機会を失ってしまいます。

ある指導員はあえて、その子のそばで見守り、こう声をかけました。

「今日、すぐできなくてもいいよ。でも昨日よりも1回多く結ぼうとしたね。それがすごいことなんだよ。

すると、その子は少しずつ諦めることをやめ、もう一度、もう一度と挑戦を重ねました。

何分もかけて、ついに自分の手でエプロンを結べたとき、「できた!」と笑顔を見せました。

その瞬間、彼は自分で壁を乗り越え、自分の色で輝いたのです。

 

この成功体験は、ひもを結べたという技術以上に、「自分はやればできる」という自信を育みます。

そして、この自信はやがて、もっと大きな壁に出会ったとき、きっと背中を押してくれるはずです。

 

心の壁にも寄り添いながら

壁には、外から与えられるものだけでなく、子ども自身が心の中に抱えるものもあります。

たとえば、「友達とうまく話せない」「自分だけができないと感じる」「本当はこうしたいけど勇気が出ない」という気持ち。

それらもまた、大きな壁として子どもの前に立ちはだかります。

そうした心の壁に向き合うとき、何より大切なのは、大人が否定せず、受け止め、寄り添うことです。

「あなたならできる」「あなたらしく頑張ればいい」という肯定的な言葉が、

子どもにとって大きな励みとなります。

 

また、無理に解決策を押しつけるのではなく、子どもが自分の心と丁寧に向き合う時間を大切にし、

悩みながらも一歩を踏み出せるよう、見守っていく姿勢が求められます。

 

「壁」は子どもを輝かせるチャンス

子どもが壁を乗り越えたとき、その経験は自信となり、次の挑戦へのエネルギーになります。

失敗しても諦めず、自分らしい方法で乗り越えたとき、子どもは自分だけの「色」を手に入れていきます。

その「色」は、周囲の誰にもまねのできない、その子自身の個性となり、自分らしく輝く未来につながっていきます。

しかし、便利さは、子どもが壁に向き合う機会が減っているともいわれます。

しかし、だからこそ私たち大人は、

あえて「乗り越えるべき壁」と「その壁を支える環境」を意識的に用意しなければなりません。

 

その際に大切なのは、子どもにとって「少し背伸びをすれば届く壁」であること。

決して無理難題を押しつけるのではなく、努力次第で乗り越えられる目標を設定し、

その過程で失敗しても努力したことを認め、励ましていく姿勢が必要です。

 

壁を乗り越えた先にある自分色の輝き

子どもたちにとって、壁を与えられ、それを乗り越える経験は、

人生における大きな糧となります。

それは学習面だけではありません。

友達とのトラブルを解決することも、自分の感情をコントロールすることも、

生活習慣を整えることも、すべてが「壁」です。それらを一つひとつ乗り越えていくことで、

子どもたちは「生きる力」を身につけていきます。

 

そのプロセスの中で、大人が主役になる必要はありません。

大人はあくまで、そっと背中を押し、時にはヒントを与え、見守る存在に徹するべきです。

そして、子どもが壁を乗り越えたときには、その努力をしっかりと認め、

心から称えることが、さらなる成長へとつながっていくのです。

 

 教育立県彩の国学舎 くき学園の目指す未来

教育立県彩の国学舎 くき学園では、これからも、子どもたちがそれぞれの壁に出会い、

それを自分の力で乗り越え、自分らしく輝いていけるよう、

温かく、丁寧に支えていきたいと考えています。

壁に向き合う経験こそが、その子にしか出せない「色」を育み、自分らしい未来へとつながっていく・・・

そう信じて、日々の活動に取り組んでまいります。

どの子にも、自分色に輝ける未来があります。

その輝きを引き出すのは、今日この瞬間に向き合う私たち大人のかかわり方にほかならないのです。