五感を使った学びを

「学ぶ」ということは、ただ机に向かって教科書の文字を目で追い、

答えを覚えることではありません。

人が本当に何かを理解し、心に残る体験として身につけるには、

「五感」をフルに活用した学びが欠かせません。

目で見る、耳で聞く、手で触れる、匂いを感じる、味わう・・・

このような感覚を通して得た情報は、ただの知識を超えて「体験」として記憶され、

自分の言葉で伝えられる「生きた学び」へと変わります。

 

私たちが大切にしている「豊かな学び」は、まさに

その「五感を使った学習」を柱にしています。

特に教育立県彩の国学舎 くき学園では、

五感を通した経験が、子どもたちのコミュニケーションスキルや、

気づく力、感じる力を自然と育んでいく様子が日々見られます。

 

コミュニケーションスキルの基礎は「感じる力」

子どもたちの中には、言葉によるやり取りが苦手な子もいます。

ですが、言葉以前に「人の気持ちを感じ取る力」や「自分の気持ちに気づく力」が育っていくと、

やがてそれは「伝える力」「聞く力」へと広がっていきます。

たとえば、くき学園で行っている野菜の栽培体験では、土の手触り、水の冷たさ、

成長する植物の香りや形の変化を感じ取ることで、「命の大切さ」や「育てる喜び」に自然と気づいていきます。

ある子はある体験学習にて「ピーマンって、こんなにツルツルしてるんだね!」と目を輝かせて言いました。

その言葉には、ただの観察ではなく、実際に触れて感じたことへの感動が込められていました。

 

そして、そうした気づきは、子ども同士のやり取りにも波及します。

「この花、僕が水やったんだよ」と誇らしげに話す子どもに、

「すごいね!ぼくもやってみたい!」と返す子ども・・・。

こうして、「伝える」「聞く」「共感する」力が、言葉と感情を通して自然と育まれていくのです。

 

認知・行動のバランスを育てる体験

五感を使った活動は、子どもたちの「認知」と「行動」のバランスにも大きく関わってきます。

たとえば、料理体験。材料を切る、焼く、盛り付けるという工程は、手先の使い方だけでなく、

順序立てて考える力、完成イメージを持ちながら進める計画力も必要です。

さらに、味見をしながら「もう少し塩を入れようかな」「このままでいいかも」と考える中で、

自分で判断する力も養われます。

そして完成した料理を他の子どもたちと一緒に食べる中で、

「おいしいね」「ちょっとしょっぱいけど、がんばったね」という率直な意見のやりとりも生まれます。

これこそが、学習という枠を超えた「生きる力」ではないでしょうか。

こうした体験を積み重ねることによって、認知力だけでなく、行動の柔軟性や自発性も高まっていきます。

ある子は「間違えたらどうしよう」と不安そうだったのに、回を重ねるごとに自ら手を挙げて「

今日は私が卵を割るよ!」と声を出すようになりました。

この変化は、指導や知識ではなく、体験によって生まれたものでした。

 

人間関係・社会性の向上につながる「共感」

五感を使う学びの魅力は、何よりも「他者とのつながり」が生まれることです。

誰かと一緒に同じ音を聞き、匂いを嗅ぎ、同じ空の色を眺めることで、

「感じることの共有」が可能になります。それは、言葉以上に心と心をつなぐ強い力を持っています。

くき学園では、よく外に出て自然体験を行います。

公園の中を歩きながら「この葉っぱ、ザラザラしてる」「この虫、きれいな色だね」と話し合う姿は、

まさに「感覚の共有」そのものです。

そして、それをきっかけに「一緒に探検しよう」「また来ようね」という人間関係が自然と生まれます。

こうした活動を通して、子どもたちは「誰かと関わる心地よさ」「分かり合える喜び」を知っていきます。

友だちが泣いていたら「どうしたの?」とそっと寄り添えるようになり、

自分がうれしいときには「一緒に喜んでほしい」と伝えるようになります。これらは、社会性の土台となる非常に大切な学びです。

 

言語・コミュニケーション力は体験から育つ

五感を通した体験は、子どもたちの言語表現にも豊かな影響を与えます。

たとえば、単に「おいしかった」ではなく、「ふわふわで、あまくて、口の中ですぐ溶けた」といった

表現が自然と出てくるようになります。

それは、自分が感じたことを言葉にする訓練を日々積み重ねているからです。

 

くき学園では、活動後に「ふりかえりの時間」を大切にしています。

その時間には、感じたこと、発見したこと、楽しかったことを一人ひとりが言葉にして発表します。

最初はうまく言えなかった子も、

他の子の発表を聞きながら「自分も言ってみよう」と少しずつ言葉が出てくるようになります。

 

ここには、「失敗してもいい」「自分の感じ方を大切にしていい」という安心感の中で、

言葉が育っていく豊かな環境があります。

ですから、コミュニケーション力が弱いと言われる子でも、

くき学園での体験を通して確かな成長を見せるのです。

 

「夏休みグータラ」では得られない価値

ある学習教材のCMでは、「夏休み中にグータラしてしまう小学生」の姿が描かれています。

確かに、長期休暇の間は生活リズムが乱れたり、やる気をなくしたりしがちです。

しかし、くき学園の夏はまったく違います。

ここには、子どもたちの「やってみたい!」「これ面白そう!」という気持ちを引き出すプログラムがたくさん用意されています。

五感を使って、体全体で感じ、考え、動き、そして誰かと関わる・・・。

そんな学びの連続が、子どもたちにとって最高の「夏の経験」となっていくのです。

大人がどんなに口で「宿題しなさい」「早く起きなさい」と言っても、

子どもたちが心から「やってみたい!」と思わなければ学びは深まりません。

くき学園では、そうした「主体性」を育てる環境づくりを何より大切にしています。

 

だからこそ、豊かな学びを

五感を使った学びは、子どもたちの認知や行動、人間関係、言語力といった多くの力をバランスよく育てていきます。

そして、それは机上の学びでは得られない「生きる力」として、彼らの中に根づいていきます。

子どもたちが自分の感覚を信じて、自分の言葉で語り、人とつながりながら未来を生きていくために。

私たちは、今日も「感じる学び」を大切にしながら、くき学園での実践を積み重ねています。

 

だから、ただただ・・・感じ取ってくれるのを待つのではなく

感じ取る力を養い、気づくアンテナを養い、そして・・・思考力を高めていくのです。