視覚的学びって?

私たち人間は、五感を通じて外界と関わりながら成長していきます。

その中でも「視覚」は最も大きな割合を占める感覚であり、

情報の約8割を視覚から得ているとも言われています。

特に子どもたちにとって、「見て学ぶ」という体験は、記憶や感情、

行動に直結しやすく、心の奥深くに残る力を持っています。

今回は、視覚的な学びの重要性について、古くから伝わる「孟母三遷の教え」や、

大人の行動を子どもが観察している事実、

視覚によって心に訴えかける教育の在り方などに触れながら考えてみたいと思います。

 

孟母三遷の教えに見る「環境」と「視覚」

 

「孟母三遷(もうぼさんせん)」という故事成語は、

多くの方が一度は耳にしたことがあるかもしれません。

これは、中国の思想家・孟子の母親が、息子にとってより良い教育環境を求めて、

三度も引っ越しをしたという逸話に由来します。

最初は墓地の近くに住んでいましたが、孟子が葬儀のまねばかりをするので市場の近くへ引っ越しました。

そこでは商人の口調や駆け引きを真似しはじめたため、

最終的に学校の近くへ住まいを移し、学問に励むようになったという話です。

 

この話から私たちが学べるのは、子どもは周囲の環境を「見て」吸収し、

行動や価値観を形成していくということです。どれだけ言葉で「勉強しなさい」と伝えても、

周囲の様子がそうなっていなければ、子どもの心には届きにくいのです。

視覚を通じて得た経験が、言葉以上に深く子どもの心に根を張る。

それを古代の母親は身をもって理解していたのだと考えると、現代にも通じる深い教育哲学を感じざるを得ません。

 

大人の行動は子どもの教科書

現代の教育現場においても、「視覚的な学び」は重要な鍵を握っています。

とりわけ注目すべきは、子どもたちが大人の行動をよく見ているという事実です。

大人がどのような態度で人と接し、どんな表情で会話をし、

どうやって困難を乗り越えているのか、子どもはそれらを細かく観察しています。

特に家庭やくき学園といった身近な環境では、その影響は計り知れません。

 

たとえば、指導員が指導中に真剣なまなざしで板書をする姿や、

子ども一人ひとりに対して丁寧に接する様子を見て、

子どもたちは「学ぶことの大切さ」や「人を尊重する心」を体得していきます。

また、保護者が家庭で本を読む姿、何かに挑戦する姿勢を目にすることで、

「努力の価値」や「継続することの意味」を自然と感じ取るのです。

 

大人が意識していなくても、子どもはいつも見ています。

むしろ、言葉よりも「どうふるまっているか」が、子どもにとっての学びの入口になるのです。

まさに、大人の背中は子どもにとって「生きた教科書」なのです。

 

視覚から心に訴える力

視覚的な学びには、感情を喚起させる力があります。

たとえば、美しい自然の風景を見て心が洗われたり、絵本のイラストから物語の世界に引き込まれたり、

図やグラフを見て複雑な内容が直感的に理解できたりと、視覚から得た情報は私たちの心に直接訴えかけます。

子どもたちにとっては、言葉では理解しきれない内容も、

絵や動画、実物を通して見ることで一気に腑に落ちることがあります。

最近ではICT教育が進み、動画教材やデジタル教科書が活用される場面も増えていますが、

これもまた「視覚的に学ぶ」ことの効果を活かしていると言えます。

 

しかし、これがタブレットやスマートフォンでは間違った方向に使われている気がするのですが・・・

 

また、心に残る視覚体験は、感情や記憶と深く結びついています。

修学旅行で見た歴史的な建物や、美術館で触れた芸術作品、

地域のボランティア活動で出会った人々の姿などは、

教科書には書かれていない学びを提供してくれます。それは「生きる力」として、子どもたちの中に根づいていくのです。

 

教育における視覚的な工夫

視覚的な学びを効果的にするためには、大人の側にも「見せる工夫」が求められます。

くき学園の教室の掲示物に季節感や児童の作品を取り入れたり、

黒板の文字を色分けしてわかりやすくしたり、視覚的に「ワクワクする空間づくり」を行うことで、

子どもたちの集中力や意欲が引き出されます。

 

また、行事や体験活動の中でも、五感の中でもとくに視覚を意識した構成にすることが、

子どもたちの印象をより強く残します。

例えば、くき学園の合唱発表会で照明や衣装の演出を取り入れる、

運動会でカラフルな旗や横断幕を活用する、卒業式でのスライドショーなど、

視覚に訴える演出は感動や達成感を何倍にも膨らませます。

 

視覚的な工夫とは、単に「見た目を良くする」ことではありません。

「伝えたいことを、心に届く形で伝える」ための手段なのです。

その意識を持つことが、教育者や保護者としての姿勢につながるといえるでしょう。

 

視覚的な学びを十二分に活用しましょう

視覚的な学びは、ただの「目から入る情報」にとどまりません。

それは、心を動かし、価値観を育み、行動の指針となるような

「深い学び」へとつながる大きな力を秘めています。

孟母三遷のように、子どもが何を見て何を感じ、

どのように育っていくかを考えることは、現代においてもなお重要な教育の指針となります。

大人の姿は、子どもたちにとって「未来の姿」のモデルです。

どんな言葉を使い、どんな表情で生きているかを、子どもたちはよく見ています。

私たち大人が「目に見える学び」を意識することで、子どもたちの中に生きた学びが根づいていくのです。

視覚は、ただの感覚ではなく、心への扉なのです。

今こそ、見せることの意味、見て学ぶことの意義を改めて見つめ直し、

くき学園の子どもたちの未来に繋がる学びを共に築いていきましょう。