「子どものために」と願う親心は、いつの時代も変わりません。
わが子が幸せに育ち、豊かな人生を歩んでくれること。
それは親として、そして教育に関わる大人としての、自然な想いです。
しかし、その「子どものために」という想いが、いつしか過干渉や過保護となり、
かえって子どもの自立を妨げてしまうことがあるのも事実です。
また、逆に子どもの気持ちに寄り添いすぎて「言いなり」になってしまうことで、
子ども自身が困難に立ち向かう力を身につけられないまま成長してしまうという課題もあります。
では、本当に「子どもを第一に考える」とは、どういうことでしょうか。
過干渉と放任、支援と自立、やさしさと試練のバランスを考えながら、
子どもの長期的な成長を見据えた大人の関わりについて考えていきたいと思います。
過干渉が生み出す弊害
「これをしたら危ない」「それは難しいから代わりにやってあげる」といった親の配慮は、
一見子どものために見えます。しかし、度が過ぎると、子どもが自ら考え、判断し、行動する機会を奪ってしまいます。
たとえば、宿題を忘れそうな子どもに毎日「宿題やったの?」と声をかけてしまう。
朝寝坊しがちな子どもを毎朝無理やり起こし、時間に間に合うように支度を整えてあげる。
こうした行為は、短期的には子どもの「失敗」を回避しているかのように見えますが、
長期的には子どもの主体性や責任感、自律心を育てる機会を奪っています。
特に現代は、「失敗させない子育て」が一種の風潮として広がっているようにも見えます。
テストで悪い点を取らせないよう先回りして教え込む、
友だち関係のトラブルをすべて親が介入して解決してしまうなど、
子どもが自ら問題と向き合い、乗り越えるチャンスを失っていることが多いのです。
「言いなり」と「寄り添い」は違う
一方で、子どもが望むことをすべて受け入れ、「子どもがそう言うから」と全てを許容する姿勢も、
決して子どものためにはなりません。
「うちの子はお菓子がないとご飯を食べないので…」「朝は機嫌が悪いから、登校時間は子どもに合わせて…」というように、
子ども中心に生活が回ってしまうと、子ども自身が自分の欲求をコントロールする力を身につけることが難しくなります。
子どもには、「してもらうこと」に慣れるのではなく、「自分で乗り越えること」に喜びを見出す経験が必要です。
大人が常に子どもの「味方」になることと、「すべてを受け入れること」は違います。
本当に寄り添うとは、時には「ノー」と言い、時には一歩引いて見守る姿勢も含まれています。
「あなたの気持ちはわかるよ。でも、これはこういう理由でダメなんだよ」と説明する。
その過程こそが、子どもの理解力と納得力を育てる時間なのです。
子どもにとって試練は宝物
「子どもがつらい思いをしているのを見るのはつらい」と思う親御さんも多いことでしょう。
しかし、子どもの前に立ちはだかる「壁」や「試練」は、むしろその子が強く、優しく育つための大切な機会です。
大人でも同じことですが、人は困難に出会ったときこそ、
自分自身と向き合い、どう乗り越えるかを考え、成長していきます。
子どもも同じです。友だちとのトラブルで悩んだ経験、運動会で思うような結果が出ず悔し涙を流した経験、
テストで思ったよりも点数が取れなかった経験。
どれも、のちに「成長の糧だった」と振り返ることができる大切な経験なのです。
もちろん、大人の目から見て、あまりにも大きなストレスや深い心の傷となるような出来事であれば、
しっかりサポートする必要があります。
しかし、多くの「小さな試練」は、子ども自身の回復力や創造力で乗り越える力を育む、かけがえのない場面です。
信じて、待って、支える姿勢
子どもが自らの足で歩き出すには、大人の「信じて待つ」姿勢が不可欠です。
「見守る」ということは、「何もしない」ことではありません。
いつでも支える準備をしつつ、必要以上に手を出さないという、バランスの取れた関わり方が求められます。
たとえば、子どもが「ひとりでやってみたい」と言ったとき、
大人がすぐに「失敗するからやめなさい」と止めてしまっては、自信を持つことができません。
多少の失敗を見守りながら、必要な時だけさりげなく手を差し伸べる。
それが、子どもにとっての「安全な土台」となり、自分で考え、自分で決める力を育てていくのです。
「見守る力」は、思っている以上に大人の心のゆとりと忍耐が必要です。
結果が見えるまでに時間がかかることもあります。
しかし、「今できていないから」「今失敗したから」と焦るのではなく、
子どもの可能性と成長力を信じること。
それが、長い目で見た時に、子どもが本当に育っていくための土壌になるのです。
子どもを第一に考えるということ
子どもを第一に考えるということは、目先の快適さや成功だけを優先するのではなく、
「その子の10年後、20年後を見据えて今どう関わるか」を考えるということです。
過干渉も言いなりも、一見すると「子ども思い」に見えるかもしれません。
しかし、それらは「今この瞬間の失敗を避けたい」
という大人側の安心や満足が先に立ってしまっている場合が少なくありません。
本当に子どもを第一に考えるとは、子どもが困難を経験しながらも自分で乗り越える力を身につけ、
将来、社会の中でしっかりと自分の人生を切り拓いていけるように導いていくことです。
そのためには、愛情と信頼、そして少しの「試練」も必要です。
子どもは日々成長しています。今日できなかったことが、明日にはできるようになることもあります。
焦らず、比べず、わが子のペースを大切にしながら、その歩みを見守りましょう。
そして、失敗や壁にぶつかったときは、「あなたなら大丈夫」と信じる言葉を届けてあげてください。
その一言が、子どもの中に根を張る強さと優しさにつながっていくのです。
子どもの笑顔の奥にある「育ちのドラマ」を、共に見つめ、支え続けていく。
そんな関わり方こそが、「子どもを第一に考える」ことの真の意味なのではないでしょうか。
教育立県彩の国学舎 くき学園では
どの指導員も子どもの成長を一番に考えております。