子どもの心の切り替えが大切

子どもたちの成長を見守る中で、「心の切り替え」がいかに大切であるかを日々実感しています。

切り替えとは、気持ちや意識をある状態から別の状態へスムーズに移す力のことです。

たとえば、遊びから勉強へ、休み時間から授業へ、

失敗から再挑戦へと気持ちを変えることができる力は、

子どもたちがこれからの社会を生き抜くうえで欠かせない力といえるでしょう。

 

この「心の切り替え」は、単に「我慢する」「がんばる」といった精神論に基づくものではありません。

むしろ、子ども自身が自然と前向きな気持ちになり、

「やってみたい」「次はこうしよう」と思えるような環境や関わり方が重要です。

無理にやらせるのではなく、子どもが自ら切り替えたくなるような、

内側から湧き出る意欲を育むこと。それが、心の切り替えを促すうえでの第一歩となります。

 

ワクワク感が心の切り替えを支える

 

心の切り替えを促す鍵の一つに、「ワクワク感」があります。

子どもたちは、興味や安心感をもてたときに、自然と行動に移す力を発揮します。

例えば、初めて習字セットを使った授業や、絵具セットを使う授業の前のわくわく感覚えていますか?

ただし、「これをやれば褒められる」「これをしたらご褒美がある」という条件付きの意欲だけに頼ってしまうと、

自ら気持ちを切り替える力が育ちにくくなることがあります。

だからこそ、子ども自身の気持ちに寄り添いながら、徐々に自分で「やってみようかな」と思えるような関わりが大切になります。

ある小学校低学年の男の子は、勉強に集中するのが苦手で、

時間になっても、テンションが上がったままなかなか席に戻れませんでした。

指導員は、最初はその子を無理に動かそうとせず、まずはそっとその子の隣に行き、

「楽しかったね。もう少し遊びたい気持ちもあるよね」と、気持ちに共感する声をかけました。

そして、少し落ち着いたタイミングで、「じゃあ一緒に席に戻ろうか」と手を差し伸べました。

 

数日経つと、その子は先生の声かけに安心感を覚え、

「そろそろ戻る時間なんだな」と気持ちの中で少しずつ切り替えの準備ができるようになっていきました。

先生は、毎回同じ言葉がけをしながら、その子が自分のタイミングで動き出せるのを信じて待ちました。

するとある日、合図と同時に自ら席に戻る姿が見られたのです。

 

このように、「早くしなさい」「もう授業が始まるよ」と急かすのではなく、

「戻るのが難しいのはどんな気持ちなんだろう」と子どもの心に寄り添うことで、

気持ちを切り替える力はゆっくりと育っていきます。

ワクワク感や安心感に支えられた環境は、無理やり切り替えさせるよりもずっと深い学びを子どもにもたらします。

切り替え力がもたらす社会性と生活力の向上

 

心の切り替えがうまくできるようになると、子どもたちの社会性や生活力にも良い影響が現れます。

社会性とは、他者と適切に関わる力、つまり協力したり、相手の立場に立って考えたりする力です。

一方、生活力は、日常生活を自立して営むための実行力や計画性などを指します。

切り替えが上手な子は、自分の気持ちをコントロールしやすくなります。

たとえば、遊んでいても「今は片付けの時間だ」と気持ちを切り替えて行動できる子は、

まわりの人から信頼されやすく、集団生活の中でもスムーズに過ごせるようになります。また、

家での生活でも、「今日は〇〇をしてからゲームしよう」といった自己管理が少しずつ身についていきます。

こうした力は、将来的に仕事や人間関係を築くうえでも大きな財産になります。

社会は常に変化し、予定通りにいかないことも多くあります。

そんなときに、気持ちを切り替えて前向きに行動できる力は、困難を乗り越える原動力になります。

 

失敗例と成功例から学ぶ関わり方

 

では、どのような関わり方が心の切り替えを支えるのでしょうか。

ここでは、ある兄弟の例をもとに失敗例と成功例を紹介します。

まず、失敗例です。兄のAくんは部活動でなかなか成果が出ず、イライラしていました。

母親は「がんばりなさい」「どうしてできないの?」と励ましのつもりで声をかけましたが、

それがプレッシャーとなり、Aくんはますますやる気をなくしてしまいました。

気持ちの切り替えどころか、「どうせ無理」と思い込んでしまったのです。

 

次に、弟のBくんの成功例です。

Bくんも最初は、宿題に取りかかるのが遅く、やる気が見られませんでした。

ところが、ある日母親が「宿題が終わったら、一緒にお菓子作りしよう」と提案したところ、

Bくんは「やってみようかな」と気持ちを切り替え、自分から机に向かうようになりました。

「やらされる宿題」から、「やり終えたら楽しみがある宿題」へと、意味づけが変わったのです。

 

この二つの例からわかるように、子どもの心に寄り添い、

「今この子は何に心を引っかけているのか」「どうしたら前向きな気持ちになれるのか」と考えることが大切です。

励ます言葉が時に逆効果になることもありますし、ちょっとした楽しみや期待が、子どもの心を動かすこともあります。

切り替えを育むための大人の関わり

 

子どもの心の切り替えを育むために、大人ができることはたくさんあります。たとえば、次のような工夫が効果的です。

 

  1. 見通しを持たせる
    いきなり「次はこれ」と言われるよりも、「あと5分で終わりにしようね」と予告をすることで、子どもは心の準備ができます。
  2. 気持ちに共感する
    「まだ遊びたかったよね」と子どもの気持ちに寄り添う言葉をかけると、子どもは自分の気持ちが認められたと感じ、気持ちの整理がしやすくなります。
  3. 成功体験を積ませる
    切り替えができたときには、「ちゃんと切り替えられたね!すごいね!」と具体的に褒めることで、自己肯定感と意欲が高まります。
  4. 柔軟なスケジュールを作る
    少し余裕を持った時間設定にすることで、「まだやりたい気持ち」と「次に移る必要性」のバランスが取りやすくなります。
  5. 選択肢を与える
    「お風呂に入る前に本を読む?それとも片付けてから入る?」など、自分で選べることで、主体的に気持ちを切り替えやすくなります。

心の切り替えは、子どもが健やかに成長するうえで、非常に大切な力です。

無理やりやらせるのではなく、子どものワクワク感や自然な気持ちの動きを大切にしながら支えていくことで、

子どもたちは少しずつ、自分自身で気持ちを整え、行動を選びとれるようになります。

そしてその過程で、社会性や生活力といった、生きる力が自然と育まれていきます。

私たち大人ができるのは、

子どもたちの小さな気持ちの変化に気づき、寄り添い、見守りながら、一緒に歩んでいくことです。

心の切り替えを育てることは、未来を生きる子どもたちへの、かけがえのない贈り物になるのです。

 

ゴールデンウイークが終わり・・・

子どもの気持ちの切り替えはいかがでしょうか?

昼夜逆転・途方もないほど長い時間のゲームのプレイ、環境が変わった学習環境への参加の拒否

大きな気持ちの切り替えはいかがでしょうか?

 

もしもの、もしも、このような負の状況があるのならば

決して無理やり、切り替えさせるのではなく

子どもを信じてただ待つ・・・だけではなく

何か、新たなわくわく感が持てるような何かを、決してご褒美でもなければ、代償でもなく

子どもが明るいほうに向かっていける道に