子どもの成長には、目に見える成果と、目には見えにくい心の変化があります。
私たちが日々子どもたちと接していると、「できた!」という喜びの瞬間に出会うことがあります。
その瞬間こそが、学びによって心が変わり、自信が芽生え、次の挑戦へのエネルギーが生まれるときです。
学びは単なる知識の習得ではなく、子どもの心を育て、生きる力を形づくる重要な営みなのです。
はじめのうちは、「勉強が苦手」「どうせ自分にはできない」と口にする子どもも少なくありません。
特に、失敗経験が多かったり、まわりと比べられることに敏感だったりする子どもは、
挑戦する前から心を閉ざしてしまうこともあります。
しかし、学びの第一歩は“成功体験”ではなく、“安心して挑戦できる環境”にあります。
小さな努力を認められ、支えてくれる大人がそばにいることで、子どもは少しずつ心をひらき、やがて自分を信じられるようになります。
「できた」という実感は、脳科学的にも前向きな変化をもたらすことが明らかになっています。
文部科学省の調査(2023年度「全国学力・学習状況調査」)によると、
「自分の努力が成果につながると思う」と答えた児童生徒は、
そうでない児童生徒に比べて平均正答率が約15ポイント高いという結果が出ています。
つまり、自信の有無は学力の差を生むほど大きな影響をもっているのです。
ある生徒の例を紹介します。A君は小学校の高学年まで、
勉強に対してあまり興味を示さず、「どうせやってもムリ」と言っていました。
特に算数が苦手で、問題を解く前からあきらめる姿勢が見られました。
しかし、くき学園での個別支援を通じて、「やってみよう」と思える機会を少しずつ増やしていきました。
指導員とともに自分のペースで取り組めるようにし、
できたときにはすぐにスタッフが「すごいね」「この考え方いいね」と声をかけました。
すると、A君の表情が次第に明るくなり、
「次はもう少し難しいのをやってみたい」と前向きな言葉が出るようになりました。
半年後、学校のテストで平均点を超える点数をとったとき、
A君は「やればできるんだね」と笑顔を見せました。この“自分を認められた経験”が、
学力そのものを押し上げただけでなく、心の中に確かな自信を生みました。
のちにA君は、自分から宿題に取り組むようになり、
さらに「わからないところを教えて」と人に聞く姿勢も身につけました。
彼にとっての学びの変化は、点数の上昇ではなく、“心の成長”そのものでした。
教育心理学の研究でも、子どもの「自己効力感(self-efficacy)」が高いほど、
学習への意欲が強く、困難に直面してもあきらめにくい傾向があるとされています。
2022年のベネッセ教育総合研究所の調査では、「自分には学習内容を理解できる力がある」と感じている児童は、
そうでない児童よりも学力調査で平均12点高い結果を示しました。
このようなデータからも、学びが子どもの内面に与える影響の大きさがわかります。
学力を伸ばすためには、知識や技術の指導だけでなく、「心づくり」を大切にする必要があります。
たとえば、失敗したときにすぐに叱るのではなく、
「どうしてそう思ったの?」「次はどんなやり方をしてみる?」と一緒に考える姿勢が重要です。
大人が子どもの思考過程を認め、成長の途中にある努力を肯定することで、
子どもは安心して挑戦を続けられるのです。
こうした積み重ねが、最終的には「学ぶことが楽しい」という気持ちにつながります。
学びの楽しさを実感した子どもは、学習だけでなく生活面にも良い変化を見せます。
放課後等デイサービスの内部調査(2024年度)によると、
支援開始から1年以内に「自分の意見を言えるようになった」「友達に教えようとする姿が見られる」など、
社会的スキルやコミュニケーション面での成長が見られた児童が全体の68%にのぼりました。
学びが心の変化をもたらし、その心の変化がさらに人間関係や生活意欲の向上へとつながっていることがわかります。
学びは、子どもたちに「自分には価値がある」「努力すれば変われる」という確信を与えます。
結果として、学力の向上や生活態度の改善だけでなく、将来への希望や自己肯定感の向上にも寄与します。
だからこそ、私たち支援者や教育者は、単なる“勉強の手助け”にとどまらず、
“心を育てる学び”を提供し続ける責任があるのです。
学びは決して一方向のものではありません。
子どもが成長する姿に気づき、私たち大人自身も学び、支援の在り方を見つめ直していく過程そのものが、
教育の本質であるとも言えます。「子どもが変わる」とき、そこには必ず「大人のまなざしの変化」もあるのです。
信じ、認め、支え続けること・・・
その積み重ねが、子どもの未来を大きく拓いていきます。
学びとは、知識を得ることだけでなく、“心を育てる力”です。
どんなに小さな一歩であっても、その歩みを大切に見守り、
喜びを共有することが、子どもの自信と成長につながります。
学びは子どもを変え、そして、その変化を見届ける私たち大人もまた、
子どもたちによって成長させてもらっているのです。
だからこそ、教育立県彩の国学舎くき学園では
豊かな学び 確かな学び
のもとで・・・確かで豊かな人間作りをしているのです。