子どもの真の気持ちに気づき、共に成長を考える

子どもと関わる上で、大人がまず心に留めておきたいのは「傾聴・共感・認め・褒め」の姿勢であると思います。
子どもは日々、学校や家庭、友人関係の中で多くの出来事に出会い、そのたびに心を揺らしています。
しかし、言葉にできない思いを抱えたまま、時には表情や態度でしか伝えられないことも少なくありません。
だからこそ、私たち大人が子どもの真の気持ちに気づき、耳を傾け、心を寄せ、ありのままを認め、そして小さな歩みを褒めていくことが、子どもの成長を支える土台となります。

 

傾聴 ― まずは耳と心を開くこと

「傾聴」とは、ただ子どもの話を聞くことではなく、子どもの心の声に真摯に耳を傾けることを意味します。
大人はつい、自分の価値観や経験をもとにアドバイスをしたり、先回りして解決策を提示したりしてしまいがちです。
しかし、子どもにとって本当に必要なのは「自分の思いを受け止めてもらえた」という安心感です。

たとえば、学校で友だちとけんかをして帰ってきた子どもが、「もうあの子とは遊ばない」と怒っていたとします。
その言葉だけを受けて「そんなこと言わないで仲直りしなさい」と諭してしまうと、子どもは自分の気持ちを否定されたように感じてしまいます。
そうではなく、「今日は嫌なことがあったんだね。どんな気持ちだったの?」と寄り添いながら聞くことで、子どもは心を開き、次第に本音を語り始めます。
傾聴の姿勢は、子どもが自分の感情を整理するきっかけとなり、自己理解を深めることにつながるのです。

 

共感 ― 子どもの立場に立つこと

傾聴によって子どもの言葉を受け止めたなら、次に大切なのは「共感」です。
共感とは、ただ「わかったよ」と相づちを打つことではなく、子どもの立場に立って「その気持ちは自然なことだよ」と伝えることです。

子どもは日々の生活の中で、大人から見れば些細に思える出来事でも大きな葛藤や不安を抱きます。
テストの点数が悪かった時、友だちから仲間外れにされた時、思い通りにできなかった時。
大人から見れば「そんなことで悩む必要はない」と思うことでも、子どもにとっては人生の一大事なのです。
その気持ちに寄り添い、「悔しかったんだね」「寂しかったんだね」と言葉を返すことで、子どもは「自分の感情を理解してもらえた」と安心します。

共感は、子どもの心の扉を開く鍵です。
共感を通じて「自分の気持ちは大切にされている」と感じた子どもは、他者の感情にも敏感になり、思いやりの心を育むことができます。

 

認め ― 子どもの存在そのものを肯定する

子どもとの関わりの中で欠かせないのが「認める」という姿勢です。
それは、子どもの行動の結果だけではなく、存在そのものを肯定することを意味します。

「あなたがここにいてくれて嬉しい」「あなたはあなたでいい」というメッセージを日常の中で伝えることは、子どもの自己肯定感を大きく育てます。
自己肯定感が高い子どもは、失敗しても立ち直る力を持ち、挑戦する意欲を失いません。
一方で、結果や成果ばかりを評価されて育つと、「できなければ価値がない」という思い込みに縛られ、失敗を恐れて挑戦しにくくなってしまいます。

認めることは、子どもの心を支える大きな力になります。
例えば「今日も学校に行けたね」「一生懸命話してくれてありがとう」といった小さなことでも、認められた経験は確実に子どもの中に積み重なっていきます。
その積み重ねこそが、未来へ歩むための揺るぎない基盤となるのです。

 

褒め ― 小さな一歩を見逃さないこと

「褒める」ことは、子どもの成長を後押しする大切な働きかけです。
しかし、褒め方には注意が必要です。
単に「すごいね」「えらいね」と繰り返すだけでは、子どもは一時的に嬉しくても次第に空虚に感じてしまうことがあります。
大切なのは、子どもの努力や過程に焦点を当てて褒めることです。

「最後まで諦めずに取り組んだね」「自分で考えて工夫できたね」といった言葉は、子どもに「努力や工夫が大切なのだ」という学びを与えます。
また、大人が小さな一歩を見逃さず褒めてくれることで、子どもは「自分は成長している」と実感できます。
この実感が、さらなる挑戦へとつながっていくのです。

 

子どもの真の気持ちに気づくために

傾聴・共感・認め・褒めの姿勢を実践する中で、大人は子どもの「真の気持ち」に気づくことができます。
子どもは時に、本心をそのまま言葉にできず、逆の態度をとることもあります。
「もう勉強なんてしない」と投げ出す言葉の裏には、「本当はできるようになりたい」という願いが隠れていることがあります。
「友だちなんていらない」と突き放す態度の裏には、「本当は一緒にいたい」という寂しさが潜んでいることもあります。

その奥にある思いに気づけるのは、日頃から子どもを見つめ、耳を傾け、寄り添っている大人だけです。
大人が「この子は何を感じているのだろう」と問いかけ続けることが、子どもの心に寄り添う第一歩なのです。

 

子どもと共に成長を考える

子どもの成長は、大人が一方的に方向づけるものではなく、子ども自身と共に考えていくものです。
大人が傾聴・共感・認め・褒めを実践しながら、「君はどうなりたい?」「どんなふうに成長していきたい?」と問いかけることで、子どもは自分自身の未来を主体的に考え始めます。

大人は、子どもの未来を共に描く伴走者です。
時には励まし、時には見守り、時には一緒に悩みながら歩んでいく存在であることが求められます。
その関わりの中で子どもは「自分には可能性がある」と信じられるようになり、自らの力で成長していく道を切り拓いていきます。

 

傾聴・共感・認め・褒め

この4つの姿勢は、子どもと関わる大人にとって欠かせないものです。
子どもの心に耳を傾け、感情に共感し、存在を認め、努力を褒める。
その積み重ねによって、子どもは安心感を得て、自己肯定感を育み、挑戦する力を身につけていきます。
そして、大人もまた子どもとの関わりを通じて多くを学び、共に成長していけるのです。

子どもの真の気持ちに気づきながら、その成長を子どもと一緒に考えていくこと。
それこそが、未来を生きる力を育む最も確かな道であると私は信じております。