子どもたちの成長には、日々の小さな積み重ねが欠かせません。
しかし、その積み重ねを支えているのは、実は「大胆な一歩」であることが多いのです。
ここで言う大胆さとは、決して無謀さではなく、
「勇気を持って挑戦すること」「新しい世界に踏み出すこと」を意味します。
大人から見れば小さな出来事でも、
子どもにとっては人生を変えるほど大きな挑戦となることがあります。
そしてその挑戦を支える周囲のまなざしや励ましが、
子どもの心を豊かにし、未来を切り拓いていくのです。
くき学園で見られた大胆な行動
ある日のくき学園でのことです。外遊びの時間に、
普段は運動が得意でないC君が「高い遊具に登ってみたい」と言いました。
周囲の子どもたちが楽しそうに挑戦している姿を見て、
自分もやってみたいという気持ちが芽生えたのです。
しかし彼にとっては、高い場所に登ることは大きな不安を伴うものでした。
指導員はすぐに手を貸すこともできましたが、
あえて「下から見守っているから、自分のペースでやってごらん」と声をかけました。
C君は最初の一段で足が震えていました。
それでも、一段、また一段と登るうちに表情が変わっていきました。
頂上に到達したとき、彼の顔は達成感でいっぱいでした。
その瞬間、周りから自然と拍手が起こり、C君は「やった!」と大きな声をあげました。
それは運動能力の成長というよりも、
自分の殻を破り「できない」と思っていたことに挑戦できた経験でした。
この大胆な一歩が、その後の彼の自信につながり、
新しい活動にも積極的に参加する姿勢を見せるようになったのです。
大人の支えが子どもの大胆さを引き出す
子どもが大胆な一歩を踏み出すとき、その背後には必ず大人の支えがあります。
「失敗してもいい」「挑戦することに意味がある」という安心感を大人が与えることで、
子どもは勇気を持つことができます。
例えば、別の場面では水遊びが苦手なDさんがいました。
初めてのプール活動で水に入るのをためらい、ずっと見学を希望していました。
しかし指導員が「足だけなら入ってもいいんだよ」「水が冷たくて気持ちいいよ」
と優しく声をかけ続けたことで、彼は勇気を振り絞り、水の中に足を入れました。
それはほんの数秒の出来事でしたが、本人にとっては大きな挑戦であり、大胆な一歩でした。
その後、少しずつ水に慣れていき、最終的には友だちと一緒に水遊びを楽しめるようになったのです。
大胆さが「生きる力」を育む
子どもの成長は、ただ知識や技能を身につけることにとどまりません。
自分の殻を破って一歩踏み出す力は、社会に出てからも必要な「生きる力」につながります。
友人関係で意見を交わすとき、進路を選ぶとき、新しい環境に飛び込むとき・・・
いずれも「大胆さ」が求められます。
失敗を恐れて挑戦しなければ、現状に安住してしまいます。
しかし、一度でも「できた」「やり遂げた」という体験を積むことで、
子どもは困難に直面しても「自分なら大丈夫」という自己効力感を持てるのです。
大人自身も大胆に
子どもに大胆な一歩を求めるなら、大人自身もまた、柔軟に挑戦する姿を見せる必要があります。
ある指導員は、子どもと一緒に鬼ごっこをする際、
「実は鬼ごっこは苦手なんだ」と打ち明けつつも、全力で走り回りました。
その姿を見た子どもたちは驚きつつも、
「大人でも苦手なことがあるんだ」「でも挑戦していいんだ」と自然に学んでいました。
大人が自ら挑戦する背中を見せることが、子どもの挑戦心を育てるのです。
大胆な一歩を
子どもの成長に必要なのは、大胆な一歩を認め、応援するまなざしです。
失敗してもいい、その挑戦そのものが価値ある経験だと伝えることで、
子どもは未来に向かって自ら歩みを進めます。
「大胆な○○」に入る言葉は、人によって「一歩」かもしれませんし「挑戦」や「夢」かもしれません。
大切なのは、その言葉が子どもの成長の背中を押すものであるということです。
私たち大人が勇気を持って応援するなら、子どもたちはきっと、自分自身の人生を力強く切り拓いていくことでしょう。