ひとり一人を尊重する学びの場づくり

私たちが子どもたちに望む最も大きな願いの一つは、安心して学び、成長していける環境を整えることであります。

学びとは、単なる知識の習得にとどまらず、人間としての心の育成や、将来の社会生活に必要な力を身につける過程でもあります。

そのためには、子どもが心から安心できる環境が不可欠であり、そこにこそ教育の根本があるといえます。

子どもにとって安心感とは、まず「自分が受け入れられている」という実感から始まります。

学校や家庭で自分の存在が認められ、尊重されていると感じられれば、子どもはのびのびと自己表現を行うことができます。

反対に、否定的な言葉や過度な叱責が続く環境では、子どもは次第に萎縮し、自ら挑戦する意欲を失ってしまいます。

安心して学べる環境を築くためには、子どもの個性を認め、ありのままを受け止める大人の姿勢が重要です。

 

子どもの安心できる場所を

また、学びの場における「安全性」も大切な要素であります。

安全というと、物理的な安全を思い浮かべやすいですが、それだけでは十分ではありません。

確かに、施設や教室の設備が整い、事故や怪我の危険が少ないことは基本ですが、同時に「心理的な安全性」も大切です。

心理的な安全とは、子どもが自分の考えを自由に話すことができ、

間違いや失敗をしても受け入れられる雰囲気のことを指します。

大人が失敗をとがめるのではなく、次の学びに生かす機会と捉えて支援すれば、子どもは安心して挑戦することができます。

 

さらに、子どもが安心して学べる環境には「仲間との関係性」も欠かせません。

子どもは一人で成長するのではなく、友達や仲間との関わりの中で学んでいきます。

互いに認め愛、協力し愛ができる関係は、子どもの心に大きな支えをもたらします。

しかし一方で、仲間関係におけるトラブルやいじめは、子どもの安心感を大きく揺るがします。

したがって、教員や保護者は、子ども同士の関わりに目を配り、困難な状況にある子を孤立させないように配慮することが求められます。

子どもたちが互いに尊重し合えるような集団づくりこそが、安心して学べる環境づくりの要であります。

 

学習内容に個々にあった工夫を

学習内容に関しても、子どもが安心して取り組める工夫が必要です。

学習は本来楽しいものであり、新しいことを知る喜びや理解できたときの達成感が子どもの成長を支えます。

しかし、画一的な評価基準や過度な競争は、子どもに不安や劣等感を抱かせる要因となります。

学びの進度や理解度は子どもによって異なります。

大人は一人ひとりの状況を理解し、それぞれのペースに合わせて支援を行うことが重要です。

特に、特性のある子どもや支援を必要とする子どもに対しては、

個別の配慮を行い、その子の「できること」に焦点をあてることが大切であります。

 

第一歩は家庭から

また、安心して学べる環境を考える際には「家庭」の存在を忘れてはなりません。

子どもは学校や地域で多くの時間を過ごしますが、やはり家庭が基盤となっています。

家庭において、安心して自分の思いを話せる場があるかどうかは、子どもの成長に大きな影響を与えます。

保護者が子どもの話に耳を傾け、共感し、受け止めることで、子どもは「自分は愛され、認められている」という確信を持ちます。

その安心感が、学校などの外の世界でも積極的に学ぼうとする力につながるのです。

 

今の時代だからこそ地域の力で

さらに、地域社会全体で子どもを支えていく視点も欠かせません。

学校や家庭だけでなく、地域の人々や福祉・医療・行政などの機関が連携し、子どもたちの健やかな成長を支援することが求められます。

例えば、放課後の居場所づくりや、相談できる大人の存在は、子どもたちの安心感を高める大きな要素となります。

孤立せず、多様な大人と関わることで、子どもは自分の価値を再確認し、より豊かな学びを得ることができます。

 

このように考えていくと、「安心して学べる環境」とは、

一つの側面だけで成り立つものではなく、家庭・学校・地域・社会が一体となって築いていくべき総合的なものであるといえます。

そしてその基盤には、大人の姿勢が常に存在します。

大人が子どもを信じ、尊重し、支える姿勢を持つことで、初めて子どもは安心感を抱き、学びに向かうことができるのです。

 

現代社会は大きな変化の中にあります。

情報技術の進展や価値観の多様化により、子どもたちを取り巻く環境は複雑さを増しています。

その中で、子どもたちが自らの未来を切り開いていくためには、安心して学べる環境が一層重要となっております。

大人の私たちができることは、子どもを一人の人間として尊重し、その声に耳を傾け、支援を惜しまないことです。

最後に、子どもが安心して学べる環境を整えることは、

単に子どものためだけではなく、社会全体の未来を築くことにつながります。

安心して学んだ子どもは、自信を持ち、他者を思いやり、社会に貢献する力を育んでいきます。

そうした子どもたちが大人となり、次の世代を支えていくことで、私たちの社会はより豊かで希望に満ちたものとなるでしょう。

 

子どもが安心して学べる環境を実現するために、

私たち大人一人ひとりができることは小さなことであっても、その積み重ねが大きな力になります。

子どもたちの未来を守り育てるために、共に手を取り合いながら、安心できる学びの場を築いていくことを強く願っております。

 

付け加えると・・・

あるご家庭の話。くき学園へ「生活の記録」では学園生活では、わが子は真剣に勉強に取り組んでいると書かれている。

しかしながら、家では全く勉強をしない。

そんな、お話がありました。もちろん、学園での取り組む場と家庭では大きな差があるでしょう。

くき学園では、「学ぼう」という雰囲気を感じ、考え、実際に安心して勉強ができるようになっています。

それだけ、がんばってご家庭でもそのまま頑張る子も実はいますが、気を赦したいのですから、家庭で勉強へ向けることは難しいかもしれません。

そこで、その子に、ある受験生たちのやったことを教えました。

それは、「5分でいいから・・・」

「5分でいいから・・・リビングで学園でやったプリントをながめていて、ごらん。」

 

すると、翌日、そのご家庭から「わが子が家でも勉強するようになった」とコメントが。

そのお母さんは嬉しくなって、わが子を褒めたそうです。

そのお母さんの喜びっぷりに、子どもも気がよくなったのか?

ノートを広げ、英語の学習をしたそうです。