わくわくする学びの力

今日は、ある生徒の素朴な疑問から、理科の実験を行うことになりました。

その疑問とは、理科のワークに載っていた「水上置換法」や「下方置換法」に関するものでした。

教科書の図や解説を通して学ぶことも大切ですが、やはり実際に目の前でその現象を見ることで、

子どもたちは多くの気づきや驚きを得ることができます。

「本当にこんな風に集まるの?」「どうして上からじゃなく下からガスが出ていくの?」

といった声に応えるために、今回は酸素缶と集気びんを用意して、実際に実験をしてみることにしました。

 

準備をしている最中から、生徒たちはそわそわと興味を示していました。

教室に集まっていた小学生たちも、自然と輪になって実験器具を覗き込みます。

そしていよいよ、酸素の発生と集気の場面に。

透明な水の中に逆さに入れた集気びんの中に、細かい泡がのぼっていき、

それが徐々に瓶の中を満たしていく様子は、子どもたちにとってはまるで魔法のように感じられたようです。

 

そして、次の瞬間、消えたマッチ棒を集めた酸素に差し込むと、パッと炎が再び燃え上がる。

その瞬間、子どもたちから「わあ!」「すごい!」という歓声が上がりました。

まるで手品のような現象に、小さな目が輝きを放ちます。

このような体験こそ、まさに「わくわくする学び」の原点であると感じます。

知識は教科書の中にもたくさん詰まっていますが、それが現実世界とつながる瞬間に、

子どもたちは深く理解し、そしてもっと知りたいという好奇心を育んでいくのです。

 

体験から学びが広がる

「百聞は一見にしかず」という言葉があります。

まさにその通りで、理科の学習においては、視覚・聴覚・触覚といった五感を使って体験することが、

学びの定着に大きく影響します。

今回の酸素の実験では、単に酸素の性質を暗記するだけでなく、

「なぜ再び火がつくのか」「酸素が燃焼を助けるとはどういう意味なのか」という点を、

自分の目で確かめることができました。

ある中学生の生徒は、

「今まで酸素って言葉だけだったけど、こうやって見えるようになると、本当に『いるんだ』って思える」と話していました。

まさに、見えないものを見える形にしてあげるのが、教育のひとつの役目であることを感じさせられます。

また、実験に触れた小学生たちの中には、「次は自分もやってみたい」「火がつくところをもっと見たい」と、

理科そのものに対する興味が一気に膨らんだ子もいました。

学年や年齢を越えて、学びの魅力を共有する場となったことは、非常に意義深いことです。

 

わくわく感が生み出す主体的な学び

子どもたちは、本来、知りたがり屋で、探究心の塊です。

しかし、学びが「やらされるもの」になってしまうと、

その好奇心の炎はしだいに小さくなってしまいます。

今回の実験のように、「なぜ?」から始まり、

「やってみたい」「もっと知りたい」という流れが生まれると、子どもたちは自然と主体的に学び始めます。

主体的な学びとは、自ら課題を見つけ、自ら考え、そして自ら行動する学びです。

その第一歩は、「面白そう!」「不思議!」という感情なのです。

つまり、「わくわくする気持ち」が、学びの原動力となっているのです。

わくわく感があると、子どもたちは積極的に友達と意見を交わしたり、

家に帰ってから保護者に今日の出来事を話したりするようになります。

そうした日常の中での振り返りが、思考を深め、学びの意味づけを強化していくのです。

 

実体験を通した記憶は一生もの

私たち大人が、子どものころに経験した理科の実験をいまだに覚えているのは、

それが「体験」として深く心に残っているからです。

単なる知識ではなく、感情や驚きとセットになって記憶されているからこそ、何十年経っても忘れないのです。

子どもたちが「あの時、先生がやってくれた実験、すごかったな」と、

数年後にも思い出すような学びを提供することができれば、それは教師にとって何よりの喜びです。

そして、その記憶は、きっと将来の学びへの動機づけや、理系分野への進路選択、

さらには日常生活での問題解決力にもつながっていくでしょう。

 

工夫が子どもたちの未来を拓く

教科書に沿った指導だけではなく、子どもたちの目線に立ち、

「どうすれば興味をもってくれるか」「どうすれば実感をもって理解してくれるか」

と常に考えながら工夫していくことが、私たちの使命です。

たとえば今回のように、たった一つの生徒の疑問が出発点となり、

子ども達の好奇心を引き出すことができたのは、

教師がその疑問を見逃さず、「やってみよう!」という柔軟な姿勢をもっていたからです。

正解を教えるだけではなく、子どもたちと一緒に考え、驚き、笑い合いながら学びを深めていくこと。

そうした日々の中に、「未来を拓く学び」が詰まっていると私は信じています。

 

わくわくを、すべての学びへ

理科の実験に限らず、わくわくする学びは、すべての教科、すべての活動の中に存在しています。

社会科では地球儀や地図、図工では新しい表現方法に挑戦することで、

音楽では自分の声や楽器の音色に感動することで、

子どもたちは日々、心を動かされています。

 

だからこそ、どんな学習でも、「どうすれば子どもたちが目を輝かせて取り組めるか」を常に問い続ける姿勢が大切です。

正解だけを求めるのではなく、過程そのものを大切にし、

失敗や間違いにも意味を見出せるような学びの環境を、私たち大人がつくっていく必要があります。

わくわくする学びは、単なる知識の習得を超えて、

「生きる力」や「考える力」を育てます。

そして、その中心には、子どもたち一人ひとりの「もっと知りたい」「やってみたい」という純粋な思いがあるのです。

私たちはこれからも、その思いを大切に育てていきたいと考えています。