「うわぁ!ぐにゃぐにゃしてる!」
「なんで水だったのに固まるの?」
「もっと色つけたい!ピンクにしたらキラキラになったよ!」
理科実験教室が始まるやいなや、教室には驚きと歓声があふれました。
子どもたちは、ホウ砂など初めて見る薬品を丁寧に計り、紙コップに入れ、
洗濯糊をお湯で溶かし、おもい思いの絵の具で着色して、
それぞれのスライムを作り上げていきました。
粉や液体が、ぐにゃぐにゃとしたスライムに姿を変えていく様子を、
目を丸くして見つめる子どもたちの姿に、私たち職員も思わず笑顔になりました。
この「スライムづくり」は、単なる遊びではなく、
子どもたちの発達や成長を支える大切な学びの機会であることを実感します。
重視されている五領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、人間関係・社会性、言語・コミュニケーション)の視点からも、
この活動は非常に意味深いものとなりました。
1.健康・生活の領域:安全を理解し、自立につなげる
スライム作りは、薬品を使用するため、活動前には安全に関する説明を丁寧に行いました。
「手で目をこすらないようにしようね」「終わったらしっかり手を洗おう」「先生の話をしっかり聞いて進めよう」など、
子どもたちは真剣に耳を傾け、守るべきルールを確認していました。
こうした「自分で安全を守る力」は、日常生活を送るうえで欠かせない力です。
また、道具をきちんと片づけたり、机を拭いたりといった行動も、生活の自立を後押しします。
準備から後片づけまでを通して、生活スキルや責任感を育てることができるのです。
2.運動・感覚の領域:五感を通して学ぶ
スライム作りは、感覚刺激に満ちた活動です。
材料の変化を視覚で観察し、混ぜていく過程での手の感触を味わい、
完成したスライムを触って「気持ちいい!」「なんか変な感じ!」と感想を言い合う子どもたち。
触覚・視覚・嗅覚など、五感がフルに活用される学びの時間となりました。
また、計量スプーンを使って薬品をすくったり、コップに注いだり、
かき混ぜたりする動作は、手先の巧緻性を高める良いトレーニングになります。
特に、スプーンからこぼさずに移すには集中力と手先の調整力が必要であり、こうした経験が細かな動きの精度を高めていきます。
3.認知・行動の領域:予測し、考え、挑戦する
「思ったより固まらなかった」「ちょっと入れすぎたかな?」など、
子どもたちは自分の作ったスライムの仕上がりに対してさまざまな反応を見せてくれました。
しかし、それは失敗ではなく、気づきと学びのチャンスです。
「次は水を減らしてみようかな」「今度は別の色を混ぜてみよう」など、
子どもたちは自分なりに工夫し、調整していく姿が見られました。
こうした試行錯誤の中で、原因と結果を結びつけて考える認知力や、
見通しをもって行動する力が自然と育まれていきます。
また、活動全体を通して「今、何をすべきか」「どんな順番でやるとよいか」と自分で判断する機会も多くありました。
こうした体験は、自己管理力や柔軟な思考力の土台となっていきます。
4.人間関係・社会性の領域:関わりの中で育つ
活動中、「〇〇くん、それどうやったの?」「すごい色だね!」「わからないから手伝って」といった声が自然に飛び交い、
子どもたち同士のコミュニケーションが活発に行われました。
職員のサポートがなくても、子どもたちは互いに聞き、教え、認め合う関係を築いていました。
こうした関わりを通して、
「他人の考えを尊重する」「困っている人を助ける」「自分の気持ちを伝える」といった社会性が育まれていきます。
また、自分の工夫を褒められたり、アイデアを真似されたりする経験は、自己有用感や自信の育成にもつながります。
5.言語・コミュニケーションの領域:体験を言葉に変える
スライムづくりの後、振り返りの時間を設けました。
「どんなふうに作った?」「工夫したところは?」「もっとやってみたいことはある?」という問いかけに、
子どもたちは次々と手を挙げ、自分の体験を言葉にして話してくれました。
「水が多すぎたら、ねばねばになっちゃったけど、それも楽しかった」
「ピンクと青を混ぜたらむらさきになった!」
「ちょっと先生に助けてもらったけど、自分で色は決めたんだ」など、
一人ひとりの言葉には、体験を自分のものとして捉えている様子があふれていました。
こうした発表の機会は、語彙力や表現力を伸ばすだけでなく、
自信をもって話す姿勢、他人の話を聞く態度も育てていきます。
子どもたちにわくわく感を
子どもたちの好奇心と感性をくすぐる「スライムづくり」は、
単なる遊びを超えた「五感と知性を刺激する学びの場」として、非常に有意義な活動でした。
安全に配慮しながら、子どもたちが主体的に参加し、感じ、考え、伝え、
関わり合うことで、五領域すべての育ちがバランスよく促されました。
子どもたちの「楽しかった!」の声の奥には、
「できた!」「気づいた!」「わかった!」という成長の芽が確かに息づいています。
私たち大人は、こうした日々の活動の中に潜む無限の可能性を見逃すことなく、
一人ひとりの歩みに丁寧に寄り添っていくことが大切です。
理科実験教室のような学びの時間は、
まさに子どもたちの「生きる力」を育む土壌です。
これからも、子どもたちの目が輝く瞬間を大切にしながら、共に育ち合う時間を紡いでいきたいと願っています。