生きる力の実践を

今日の学校へのお迎えの時、当学園の児童を迎えに行くと、驚きがありました。

昇降口にでると、見送ってくれる先生ひとり一人に礼儀正しく、背筋を伸ばし、きちんと足をそろえて元気よく

「さようなら!」または、先生によっては「先生、あの時ありがとうございました」

と挨拶をしているのです。

 

もちろん、それを受けた先生方も、その礼に応えるべく返答をされておられました。

この情景をみて、胸が熱くなりました。

くき学園では、再三、心の教育について述べさせていただいておりましたが、これを実践的な形で実際に目にしました。

 

くき学園では、学習を利用した、社会性・生活力の育成を目指しております。

また、ガイドライン通り計画をもって5領域の分野において、豊かな人間力の育成を目指しております。

しかも、この児童は言われたからやったわけではなく、自分でこれが正しいことだと考えたそうです。

これは、心の成長の一端ですね。

 

現代社会において、子どもたちが生きていく環境はますます複雑化し、多様化しています。

AIやインターネット技術の発展、国際化の進展、価値観の多様化など、社会全体が大きな変革期を迎える中で、

次世代を担う子どもたちには、単なる学力や知識だけではなく、「社会性」や「人間力」といった、

生きる力そのものが求められています。こうした背景のもと、子どもたちの明るい未来を創造していくためには、

教育現場や家庭において、社会性を軸とした人間力の育成に真剣に取り組む必要があります。

 

まず、「社会性」とは何でしょうか。それは、他者と関わり合い、協力し合いながら共に生きる力であり、

個人が社会の一員として健全に機能するために欠かせない能力です。人は一人では生きていけません。

幼少期から人と関わり、共に遊び、時には衝突しながら他者との違いを学び、受け入れる中で社会性が育まれていきます。

この社会性こそが、将来的に自立した「真の社会人」として社会に貢献するための基礎となるのです。

 

そのためには、「人間力」を意識した育成が欠かせません。人間力とは、単なる能力や知識の有無ではなく、

「人としてどう生きるか」という姿勢や価値観、人格そのものを指します。

文部科学省でも近年、「生きる力」として、知・徳・体のバランスの取れた育成を重視しており、

学力偏重ではない、全人的な成長の必要性が強調されています。

子どもたちがよりよく変容し、内面から成長していくためには、知識の詰め込みではなく、

心の教育、体験的な学び、人とのつながりを重視した教育が重要です。

 

ここで鍵となるのが「コミュニケーション力」です。

人間関係の基礎を築くためには、自分の思いを適切に伝える力、相手の話に耳を傾ける力、状況を読み取り共感する力が不可欠です

。特に現代の子どもたちは、SNSやオンラインゲームといった仮想空間でのコミュニケーションに慣れている一方で、

リアルな場での対話や、非言語的な表現への経験が不足しがちです。

その結果、感情のコントロールが難しい、他者とのトラブルに対処できないといった課題も生じています。

では、どのようにして子どもたちのコミュニケーション力を育むことができるのでしょうか。

一つは、家庭や学校での「対話の習慣化」が挙げられます。

たとえば、毎日の食事の時間にその日の出来事を語り合う、感情を言葉にして伝える習慣をつけるなど、

日常の中で自然なかたちで対話を重ねることが大切です。

また、異年齢交流や地域社会とのつながり、ボランティア活動など、世代や立場を超えたコミュニケーションの機会も、

視野を広げ、社会性を育む貴重な体験となります。

 

さらに、子ども自身が自分の存在を肯定できるような「自己肯定感」の育成も重要です。

自分の意見を尊重され、受け止められたという経験は、自信や挑戦意欲を生み出します。

そして、そのような安心感のある環境こそが、積極的なコミュニケーションとよりよい人間関係を築く基盤となるのです。

これは教育者や保護者の関わり方にも大きく関係しており、

大人自身が「聞く力」「認める力」をもって関わることが、子どもの心の成長を支える要となります。

 

また、現代の教育においては「失敗から学ぶ力」も重視されています。

社会の中では、自分の思い通りにならないことや困難に直面することが多くあります。

そのたびに自信を失い、逃げ出してしまうのではなく、失敗を成長の糧と捉え、前向きに立ち向かう力を育てることが大切です。

これはまさに「人間力」の一部であり、社会性の中で学ぶ経験です。

たとえば学校のグループ活動やスポーツ、文化活動などでは、子どもたちは役割を分担し、意見を出し合い、

時には対立を乗り越えて成果を得るというプロセスを経験します。これらの体験は、単なる成功体験よりも、深い学びと変容をもたらします。

 

このように、子どもたちの明るい未来を創造するためには、知識の習得だけではなく、「人間としてどう生きるか」を育む教育が求められています。

そして、その中心には「社会性」があり、社会性を育むためには「人間力の向上」と「コミュニケーション力の育成」が欠かせません。

未来の社会は、他者と協力し、共感し、共に課題を解決していく力がより一層求められるでしょう。

 

私たち大人には、子どもたちが自らの力で未来を切り開いていけるような土台を整える責任があります。

教育は一部の専門家だけの仕事ではなく、社会全体が協力しながら取り組むべき営みです。

家庭、学校、地域が手を取り合い、一人ひとりの子どもの可能性を信じて関わること。

その積み重ねが、やがて子どもたちの中に「真の社会人」としての資質を育て、より良い未来を築いていく原動力となるのです。

 

また、それだけで終わりではなく・・・

その児童の様子を、教室で皆に話してみました。

すると・・・「僕も!明日からやってみる!」

児童たちは、皆、新たな成長への挑戦に意気込んでいました。