子どもの記憶に残る大人に

私たちは、日々多くの人と関わりながら生活しています。

しかし、長い人生のなかでずっと記憶に残り続ける人は、それほど多くはありません。

特に、子どもたちにとって心に深く刻まれる大人とは、どのような存在なのでしょうか。

それは、優しい言葉をかけてくれた人かもしれませんし、自分を信じて見守ってくれた人、

あるいは厳しくも愛のある態度で接してくれた人かもしれません。

子どもの記憶に残る大人とは、その子の人生に影響を与え、生きる力の一部となった人なのです。

 

記憶に残る「たった一言」

私たちは、何気ない日常のなかで交わされる言葉が、相手にとってどれほど大きな意味を持つかを、

つい忘れてしまいがちです。特に子どもたちは、大人の一言に敏感に反応します。

それは、まだ社会経験が少なく、自己評価が揺れ動く時期にいるからです。

そんな時、「君のことを信じてるよ」「がんばったね」「大丈夫、君ならできる」といった何気ない一言が、

子どもの中で大きな支えとなり、自信へと変わっていきます。

ある中学生の男の子がいました。彼は勉強があまり得意ではなく、

先生にも友だちにも「やればできるのに」と言われることが多く、

逆にそれがプレッシャーになっていました。

ある日、進路について相談した際、担任の先生がふとこう言いました。

「君が君らしくいられる場所がきっとあるよ」。その言葉が彼の胸に深く残り、

自分らしさを大切にしようと思えたといいます。それまで「できるかどうか」にばかり意識が向いていた彼が、

「どんな自分でいたいか」を考えるようになったのです。

この一言が、彼のその後の進路選びや人間関係に大きな影響を与えました。

私たちが発するたった一言が、子どもの人生の方向を変えることがある。

このことを忘れず、常に温かく、誠実に言葉をかけていく姿勢が大切なのだと感じます。

 

生きる力を育むかかわり

「生きる力」とは、単なる学力や体力だけではありません。

それは、困難な状況にあっても折れない心、自分の意思で考え行動する力、

他者と協力しながら社会の中で生きていく力など、複合的な能力の総体です。

子どもたちがこの「生きる力」を身につけていくためには、周囲の大人との関わりが欠かせません。

日々の生活の中で、子どもたちは様々な壁にぶつかります。友人関係のトラブル、

学習の苦しさ、家庭での葛藤・・・。

そうしたときに、大人がどのような姿勢で向き合うかが、子どもの心に大きな影響を与えます。

失敗を叱るのではなく、「この経験から何を学べるか」と問いかけ、共に考える。

その姿勢が、子ども自身が学び取る力を育てていくのです。

たとえば、ある指導員は、計算を間違えた子に対して「いい間違いだね」と声をかけていました。

初めて聞いたときには、子どもたちも不思議そうにしていましたが、

何度かその言葉を耳にするうちに、子どもたちは間違えることを怖れなくなり、

意欲的に問題に取り組む姿が増えたのです。

このような姿勢は、子どもたちの「挑戦する心」を育てるとともに、「自分の意見を持つ力」へとつながっていきます。

 

使命感をもって子どもに関わる

私たち大人に求められるのは、ただ子どもを育てる役割にとどまらず、その未来を支える使命感です。

教育や子育ては、一朝一夕で成果が見えるものではありません。

しかし、10年後、20年後に「あのときの一言が自分を変えた」と子どもが思い出すような関わりをすることが、

真の意味での大人の役割なのです。

そのためには、常に子どもの成長の先を見据え、今ここでの関わりが未来につながることを意識することが大切です。

子どもは、今目の前にいる自分を大切にされた経験を通して、未来の自分を信じることができます。

自分は価値ある存在だと思えることこそが、生きる力の源となるのです。

また、私たち自身も、子どもたちと関わることで学び、成長し続ける存在でありたいものです。

どんなに経験を積んでも、子どもたちは私たちに新しい視点や気づきを与えてくれます。

その出会い一つひとつが、私たちにとっての「生きる力」にもつながっていくのです。

 

すべての大人にできること

記憶に残る大人になるために、特別な資格や肩書きは必要ありません。

親であっても、先生であっても、地域の大人であっても、ただ「その子のことを想う心」があれば十分です。

子どもが困っているときにそばにいてくれる大人、子どもの小さな成功に一緒に喜んでくれる大人、

それだけで子どもは心を開き、自信を育てていくのです。

また、時には大人の失敗も子どもにとって貴重な学びとなります。

完璧な人間である必要はありません。自分の弱さを認めたり、失敗を素直に謝ったりする姿は、

子どもにとって大きな教えとなります。「大人だって間違えるんだ」「失敗してもやり直せるんだ」ということを、

実際の姿で伝えていくことが、何よりのメッセージになります。

 

記憶に残る存在がいるからこそ

子どもたちは、私たちが思っている以上に、大人の言動をよく見ています。

そして、その言葉や態度は、いつまでも子どもの心に残ります。

だからこそ、私たち大人は一人ひとりが「記憶に残る存在」であることを意識して、日々を過ごしていきたいものです。

子どもが人生のどこかで立ち止まったとき、ふと大人のあたたかい一言を思い出し、

「もう一度がんばってみよう」と思えるような、そんな関わりを大切にしていきたいと願っています。

生きる力を育てるために、そして明るい未来を子どもたちと共につくるために、私たちの使命は続いていきます。

 

また、その使命を教育立県彩の国学舎 くき学園職員は皆

1 地域社会を変える力を、この世の中を変える力を持っている
2 ヒトを変える力を持っている(子どもは勿論、保護者、地域の方々、学校関係者・・・)
3 感動を与える、感動を味わわせる力を持っている

この存在意義・価値のもと使命をもって取り組んでいます。